「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム2013in松本に参加して

松本市長より「子どものいのちと健康寿命延伸都市・松本の創造」とチェルノブイリ滞在時の経験談も含め話される

韓国最大の自治体『京畿道』の「教育庁の改革教育政策」について、住民の直接選挙によって選ばれた広域自治団体の教育監からの特別講演が一日目に行われた。

 21世紀は『人権の世紀』とし、「京畿道児童・生徒人権条例」が交付され3年にあたりすべての学校が人権教育や様々な人権フェスティバルを開催している。児童・生徒である前に人間として尊重される子どもの当然の権利が含まれており、これまでの教育の名のもとで行われた恣意的で、半人権的な慣行と文化と暴力が、真の教育にふさわしいものだったかを問い返す。

 定着のために力を注いてきた京畿道の教育共同体は、初期の混乱を克服しながら、先生たちの努力と、新たな学校文化の必要性に共感し、積極的に支持している保護者や住民の力が集まった結果、学校は構成員の相互尊重と信頼がある人権の空間として変化している。人権条例制定のプロセスの中で出てきた憂慮を払拭させ、権利と義務の主体として生活する姿を見せた子どもたちの元気な姿が力になった。

 定着のために、子どもが生活しているすべての空間に人権保障のための最善の努力を注いた。人権に関する研修、マニュアルづくり、人権審議委員会の活動、人権オンブズパーソンである擁護官の活用、塾における体罰全面禁止、家庭暴力と児童虐待の予防および保護のための協力システムの構築などである。

 

 公教育のパラダイムの原則を以下のように定め「革新学校事業」は教育モデルとして広がっている。

第一に、教育は「競争」ではなく、「協同・協力」であること

第二に、教育は「成績」ではなく、「成長」であること、そして、学校の成果は「選抜効果」ではなく、「学校教育の効果」であること

第三に、「指示と統制」で動く教育ではなく、「自律と自治」を尊重すること

第四に、教育費負担を「私負担」から「国家負担」に変えていくこと

第五に、教育結果を「個人責任」ではなく、「共同責任」に変えていくこと

 

 経済的に困難な子どもであっても、学校で差別を受けずにどの子も均等な教育機会を提供するために、普遍的な教育福祉の拡大としての取り組みとして、無償給食は全国的に広がり、高校の無償教育、乳幼児の保育費支援、学生に対する授業料の半額の支援策へと広がる。

 人権は法律や条例が制定されても保障されるものでもなく、価値と哲学が構成員の間で共有され、これが一つの国家的、社会的、個人的な行為の規範となることによりその効果をもたらす。政府と見解が違っても、葛藤や困難から逃げるのではなく、より綿密な準備と代替案を提示する中で社会的な合意をつり上げていくことが重要であると教育監からの発言に大きな拍手が起こる。