アカウミガメの産卵
夜11時頃に遠浅の砂浜海岸でウミガメの産卵を観る。
ここでは毎年ウミガメが上陸し、5月から8月頃までの期間、産卵場所となっている。メール配信登録をすると携帯にその知らせが入るシステムを地元観光協会が行っている。私も早速登録。その矢先に連絡が入り砂浜に出た。この日は3頭上陸し3頭が産卵したとのこと。
推定年齢は40才くらいと聞く。自分が立っている砂浜に大きなアカウミガメが現れ、産卵まで漕ぎ着け、それを眼前で見ることができとても興奮した。『美波町ウミガメ保護対策協議会』が砂浜とその付近の夕方以降の出入り規制や保護監視員の指示での観察マナーを促している。ウミガメにとって環境が悪いと上陸しても産卵せずに海に帰ることもある。
ウミガメは警戒心が強くすぐには上陸せず、海洋から産卵にふさわしい場所かどうか、首を上げてしばらく漂流し様子を伺うらしい。付近は灯台と民宿のあかりのみ。静かで暗い砂浜は安心して産卵できるようだ。上陸後、自分の口頭を砂浜に突きたて、砂の様子・硬さなどの状況を観る。(50センチ深いところに卵を産み落とすため、砂地が硬いと孵化しても子ガメが地上に出てこられない) 上陸後はまずは自分の体の厚さ分が入るだけ砂を堀り下げ、さらに後ろ足で産卵坑を作るため砂を掘り下げていく。1回の産卵で100〜140個産む。産卵30分して終了後、後ろ足を交互に使って砂をかぶせ、海に帰る際には後ろ足で砂を蹴散らし、産卵場所がわからないようにして、上陸して約1時間30分で降海する。
昭和42年に住民による保護の功績が認められ、海岸とそこに産卵するウミガメは国の天然記念物に指定された。昭和43年には300頭以上が上陸し、平成2年の200頭以上をピークに減ってきている。徳島県美波町では、環境問題が指摘される以前から地元の動物は大切にされており、保護する町民の取り組み姿勢が今に受け継がれている。海岸沿いにあるウミガメ博物館では海外でのかつてのカメの捕獲乱用の様子やワシントン条約での捕獲禁止についてなどウミガメの展示物が並ぶ。環境保全と観光の共生のまちとして地域づくりに期待する。