「身近な水辺から生物多様性を考える」講演会開催

 

三島グランドワークの活動紹介もある

 

カッパ池での事前実踏 加藤さんと山田さんから復元再生の設計図が示される

 

ミヤマアカネ

府中崖線下の段丘には、約86キロの用水路が存在する。都市化が進み、宅地化され、水田は減少、用水路には蓋がされ水の流れがない側溝を見かける。江戸時代からの人の営みの中で、米作りは欠かせない農業の一つだった。わき水が流れるわさび田もあり、時に子どもたちの遊び場(プール)にもなっていた。ホタルが舞い、寝るときには蚊帳の中に入れて楽しんだことを聞く。昭和40年代以降使用された農薬等が原因で減少の一途をたどる。

都市化が進む一方で、子どもの成長にとって「身近な自然の復元は不可欠」という理念のもと、1989年より、学校ビオトープ・河川の自然環境の再生・里山保全・農村環境の再生など、市民レベルの活動に、全国各地の会員がかかわっている「認定NPO自然環境復元協会」の加藤正之理事を講師に向かえ、身近な自然の回復の必要性について学んだ。国立市側から西府崖線を数回専門家同席で実踏していただき、この日は、日新町のカッパ池の復元設計図のお披露目にもなった。

 自然の環境を知らないで育つ子どもたちを大人が作り出してはいけない。「子どもたちの育ちにひとつのハンディを背負わしてはいないだろうか。」と講師から印象的な発言がある。科学を進める日本だけではなく、生態系を育み様々な生き物がいる自然を残すこと、種が豊かなこと、自らが循環することができる環境を取り戻すことが必要ではないか、『生物多様性を人間社会に当てはめると?』人間社会でも、人と人のつながりが豊かな地域では、社会的活動や経済がうまく回ることがあり、また逆に集団内に声の大きな独断的な人物がいれば、多様な意見は無視され、声の小さな人は生きていけなくなることもあると解く。人間は、自然界、生態系から学ぶことは多いはず。コミュニティの再生が福祉の向上にもつながると来場者は皆納得と拍手で締めくくられた。

 わき水まつりを始めたきっかけは、府中市民のどれくらいの人たちがこの西府崖線を訪れたことがあるだろうか。ハケと一体となった風景をどのくらいの人たちが知っているだろうか。自然と生き物が生息するこの場所を多くの人に知ってもらおうというのがまずはまつりの趣旨である。当の私たちも知らないことがたくさんある。昨年は実際にどのような生き物がいるのか、農工大の学生さんたちに手伝ってもらって勉強をさせてもらい地域の子どもたちにも知ってもらうことができた。

 今年のパートⅡのイベントは、7月19・20日あずまや付近で終日行なう。