「高次脳機能障害」ってどんな障害?

病院内の作業療法室内のリハビリグッズ

手帳を持っていない高次脳機能障害の方も生活機能訓練に参加できる

病気や交通事故など、様々な原因によって脳に損傷をきたしたために生ずる、言語能力や記憶能力、思考能力、空間認知能力などの認知機能や精神機能の障害は増加を指す。日常生活面では、例えば、今朝の朝食の内容が思い出せなくなった(記憶障害)、仕事に集中できなくなった(注意障害)、計画が立てられなくなった(遂行機能障害)、言葉が上手に話せなくなった(失語症)、人の話が理解できなくなった(失語症)、お茶の入れ方がわからなくなった(失行症)、道に迷うようになった(地誌的障害)、左側にあるおかずが目に止まらず残してしまうようになった(左半側空間無視)など、様々な症状が見られる。(「高次脳機能障害の理解と支援の充実をめざして」2011年版・東京都より)

 喘息の発作が原因で低酸素脳症になり、その後遺症で高次脳機能障害になった方が、18歳以降の発症のため知的障害者の認定もされず、国会に窮状を訴え、5年後の2001年に国の「高次脳機能障害支援モデル事業」が開始され、障害の実態が広く知られるようになった。(朝日新聞多摩版掲載記事より 2012年11月1日付)

 新宿区の委託で居場所事業を行っている『NPO法人VIVI』の池田さんから現場のおはなしを聞く機会があった。人数把握が難しい現状ではあるが国では全国に30万人いるとし、割合からすると新宿区には千人くらいいると思われる。退院後、生活しながら機能訓練をすることが求められ、また、家族だけでは伸ばすことができる機能を広げることが困難なことから、月に2回土曜日開催でミニデイサービス事業を区の委託で行っている。

 都内には、12の医療圏に1つずつ拠点病院があり、そこで相談支援ができることで、地域の相談窓口との連携ができるが、体制として不十分と聞く。23の家族会から成り立つNPO法人TKKからの要望も出されており、急性期病院から回復期病院でのリハビリテーションや退院後の生活期における支援体制の充実を求めている。

 手帳を取得しない、できない方に関しては、自治体の一般施策で対応している。機能訓練などが柔軟に地域で行われ、居場所として充実できることを進めていきたい。