ドキュメンタリー映画『六ヶ所人間記』を見る

国家石油備蓄基地、そして核燃料サイクル立地まで

1982年から1985年の間の六ヶ所村の記録映像で、住民たちの生活とそのインタビューがずっと流れる。

1969年に「下北開発構想」で日本工業立地センターの報告がまとまり、閣議決定後の翌年、「陸奥湾小川原湖地域の開発」が発表される。開墾ブームから国の政策で減反が進められ農業に希望を失う。その後工業化を図るが不況で雇用喪失。住民は出稼ぎとなる。

土地の買収が続けられ、目的には高速増殖炉までを含んだ核燃料サイクル施設が大きな比重を占めている報告書だったとのこと。

当時の議会では推進派の与党勢力が強く、反対派の議員から、「これが民主主義とは思えない。推進派は、今の自分たちの生計しか考えず、将来のことなど何も考えていない。」と力強い信念が映し出されている。

国策に絡み取られる住民の生活と、寒さの厳しい場所での生活の現状が浮き彫りになる。工業化が一旦進むと思われたが、その後不況で荒れてしまった農地のことを伝える住民の方々のやるせない思い・映像がずっと流れる。国の失策の現実を見た。

国策にずっと振り回されてきた生活を今こそ国民の力で変えていかなければならないと気持ちをあらたにした映画であった。