オーストラリアの家庭内暴力DV防止センターを訪ねる

シェルターづくりの活動からセンター設置へと広がる

 このセンターが1993年に設立された経緯は、それ以前から、女性と子どもを守るために緊急保護宿泊所(3ヶ月間滞在可)で働いていたトリーザさんたち4名は、緊急避難の前に相談できる一次的機能が必要だと考えこの組織を立ち上げたとのこと。
 国や州から財政援助を受けているが、充分ではなく、DV防止教育を有償で提供したり、民間からの寄付でまかなっている。現在では、資格をもつカウンセラーなどスタッフは15名。子ども専門スタッフもいる。トリーザさんは、現場での実績があることで評価され現任資格者。裁判所との交渉役も担っている。
 電話相談や面接によるカウンセリングから裁判所での交渉。まず、被害者の女性が訴え出る機関と情報交換、共通認識と連携の強化(警察、家族省、DV防止組織、法律家など)。また、DVいじめの加害者への立ち直りコースを設け、男女でのロールプレイを見せ、加害者の自覚を促し、自分の行動に責任をもつことを目的とする教育プログラムを実施。
 テレビなどドラマ仕立ての公共広報。DV被害で亡くなった方のことをしのぶキャンドルサービスの実施。学校教育の中にもはいっていくことで、DVの認知度が上がり、被害者が訴えやすい環境を整えたことが成果としてある。
 このセンター機能の一部が、裁判所の中にあることにも非常に驚いた。トリーザさんと顔見知りの女性関係者がたくさんいた。私たちも受付の中に入り案内してくれた。信頼関係がしっかりと根付いている。啓蒙活動から相談の入り口、そして、民事・刑事裁判まで、一連の流れで対応しているこのセンター機能に拍手。トリーザさんたちの継続した活動がしっかりと公的機関とのパイプ役を果たしている姿に感動した視察でした。