子育て支援と高齢者の小規模多機能施設のミックス

滋賀県近江八幡市「すくすく館」を訪ねて・・・

近江商人のまち屋敷の一角に「すくすく館」がある。京都から江戸へ続く街道に沿って昔ながらのたたずまいが残っている。築130年の古民家(写真下)の奥行き深い住まいは、ほとんどバリアフリーに改装されていた。

まずは、入り口に、75・80・95・100サイズの乳幼児のリサイクル着がぎっしりとたたんで積まれていた。どれも一枚30円とのこと。15年前からファミリーサポート事業を受けているNPO「子育てサポートおうみはちまんすくすく」の玄関口である。他に人材育成事業として、保育サポーター養成講座、ボランティア育成も行っている。(理事長の伊藤さん・元市議)

次の部屋に入ると、近くのおばあちゃんと孫姉妹が遊びに来ていた。母親が用事のため今日一日孫としっかりと遊ぶ日と決めて着たとのこと。居間のような畳の部屋が広場となり、置いてあるままごとセットで自由に遊んでいた。

 その次の部屋では、地域デイサービスとして、ソファーに10人以上の女性高齢者がずらっと並んで座っている。まだまだお元気な方々が、昼食をはさんでおしゃべりの場となっていて、週末金曜日はいっぱいになるらしい。(写真がその風景) メニューは、そうめんとおかずだった。食事代として一回800円。

 そのまた次の部屋は、2年前からは始めた介護保健事業の小規模多機能型居宅介護施設となっている。お風呂に入り、昼食を一緒に食べ、自宅へのヘルパー訪問もでき、通所しない日には様子を確認する。家族が遅い時には、夜間の居場所にもなっている。主に認知症高齢者が対象とのこと。(家庭の居間と同じような部屋)

 乳幼児から高齢者まで、幅広い年齢層が日中いっしょに過ごすことができる場として、これが自然な空間だと楽しく拝見できた。工夫することによって、それぞれの楽しさが増す。地域のニーズにあった、おしゃべりや笑いがある、元気いっぱいの日中の居場所となっている。府中の中では、年齢を問わず一緒に過ごせる空間が日常茶飯事にほとんどない。このような空間が、公会堂や自治会館で日常的にあることを期待する。