第25回N0!寝たきりデー2014 私は認知症をどう生きたいか 〜本人と家族に地域が寄り添う〜
社会の障壁を取り除くこと
誰もが高齢になればなるほど、認知症にかかる可能性は高くなる。高齢化が大きな危険因子である認知症に完全な予防法や治療法はない。では、認知症になることを恐れているだけでは解決されない。認知症になってもいきいきと暮らせる社会をつくることとはどのような社会を目指すことなのか。「それは、暮らしにくさを生じさせているのは社会であり、その社会の障壁を一つひとつ取り除くことである。」と上野秀樹先生(海上寮療養所精神科医、千葉大学医学部付属病院地域医療連携部特任准教授、敦賀温泉病院週3日勤務)は言われる。「認知症の人が暮らしやすい社会をつくることは、普通の人にとっても暮らしやすい社会の実現につながるのです。」と冒頭から共感するお話しが続く。
道に迷ってしまい声に出せない人がいれば、「どうしたの?」とそこで教えてくれる人がいること、誰もが知らないところに行けば道に迷う、声にだせる社会をつくることが大事であり、「世の中には多様な障害を持つ人がいるのに、そのことを考えずに形成されている社会システム自体が障害を作り出している」と今の社会問題を生み出しているすべてのことに通じる言葉にすとんと落ちていく。
医療従事者としての側面から服薬や病院での治療体制についての問題点をつく。病院は生活の場ではなく精神病棟不要論が説かれる。認知症の方を支える時の問題として、大きく2点あり、段取りができなくなるなど認知機能障害に基づく問題と行動・心理症状に基づく問題がある。そこから不安が広がってしまうこと。
精神科医が在宅に出向き「訪問医療」を行なう
誰もが希望をもって生きたいと思っている。好きなことが続けられれば笑顔で暮らせる。その生きる力をどのようにお互いに創り出せる社会を作っていくのか、「本人の声に耳を傾け、言葉でうまく伝えられない人もいるので顔つきで判断してほしい。けしてパターナリスティックにならないでほしい。」と上野先生自身、実際に直営の地域包括支援センターの機能として健康相談のかたちで、訪問診療に係っているとのこと。こうした専門医がそれぞれの住まいに入り活躍できるしくみが必要だと実感した。
市区町村の計画でもすでに認知症への対策は広がっている。サポーター養成からコーディネーター機能への充実と広げられてはきているが、まだまだ身近にいる家族など真の理解へとはつながっていない。これはすべての障がいを持った方にもつながることである。
住み慣れたところで住み続けられるよう来年度からの新たな計画策定に向けて具体的に必要な機能を今後も皆さんと一緒に考え、提案していきたい。