長崎市・久留米市のDV防止・支援の取り組みを学ぶ 視察報告その①「NPO法人DV防止ながさき」の活動
- DVにより一時的に本来の自分を失っている被害者をエンパワメントし、DVという暴力を生み出す社会構造を変えていくための施策のヒントを学び、東京都や自治体で政策提案していくために、女性たちのグループとの市民協働で先進的な取り組みを行っている長崎と久留米を視察しました。
「NPO法人DV防止ながさき」の理事長・中田慶子さんからこれまでの活動と課題等についてお話しを伺った。中田さんは府中の生活者ネットワークの初代代理人として23年前の1991年に市議会で活動を始められた方です。その当時からDV関連に尽力され故郷の長崎でもその活動を具体化するために、県や市と連携を進め2003年に地元でNPOを立ち上げられました。助成金と寄付で活動を開始し長崎県内でDVに係る唯一の活動団体です。
電話・面接相談、支援活動、啓発講座の開催、若い世代への予防教育の実施(年間60校以上で開催し、年約1万1千人、計10万人の中高生へデートDVなどの出前講座を実施) 官民連携のポイントは同意の上で支援策を開始進めること。行政は公平性が求められるが民間はあえて公平性にはこだわらず、その人その人のニーズに対応することができる。行政関係者といっしょに事例を共有しサポート体制を構築するための会議を定例で開催し情報交換を行っている。時に夜の23時頃まで時間を要することがある。
約10年活動して見えてきた課題や問題点について伺った。
・ 母と子対象のトータルな支援体制の構築
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一時保護所退所者の伴走支援 ⇒支援への抵抗、支援がいつまでどこまで必要か、いつでも相談可とする
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自己決定を進め、長く伴走支援が必要 ⇒支え手(サポーター)は誰でもができるとは限らない。地域での人材育成やニーズとして託児や引っ越しの手伝いにも係る。
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高齢・障がい等のサービスにきちんとつなぐまでの支援
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いろいろな年齢層で「男女対等な関係」「非暴力」の予防教育の普及が必要
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単年度予算や3か年予算となり資金面での不安定さがあり、担当職員との連携を密にする
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NPOの安全確保、情報秘匿の必要性により支援の限界が生じる
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親が子どもと面会する際の交流権として、安全性を確保するための同席のしくみなどが必要
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家裁への同行支援に専門職がかかわると本人に多額の費用負担が発生する。
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子どもへのPTSD配慮 課題を伺いながら、想像の範囲をさらに深めることができた。多様に対応できるスタッフが充分にいることが必要だが、誰でもが継続的にかかわることができるかどうか、ボランティア性をもった方たちの人材の確保も必要なことは私も共感する。DV防止の講座を受けた方たちや経験者からさらに活動が広げられることを願って、長崎県と長崎市の取り組みについて翌日お話しを聞くこととする。