生活者ネットワーク視察 「大阪・京都」にて その②
24時間体制で性犯罪・性暴力被害者への支援を行う『SACHICO』の事務局機能を担う「ウイメンズセンター大阪」を見学
民間が運営している「ウイメンズセンター大阪」は、1980年に埼玉県で起こった富士見産婦人科病院事件がきっかけで立ち上がった。「女性の臓器は軽んじられてきた。医者任せにせず、自分たちの求める医療を作りたい。」と1984年結成。(事件は無資格の医者の診療で子宮や卵巣の乱診乱療で摘出手術も受けた患者たちが立ち上がり民事訴訟を行ない、さらに医師の免許取り消し処分を求め約30年間にも及ぶたたかいとなった。)
「女性のからだは女性でしかわからないことがある。自分のからだは自らがもっと知ることが大事だ。」と事務局長の言葉に共感する。女性は、次の生命が宿るところと常に向き合い、繊細であり、閉経以降の更年期にも自分のこころとからだを知る必要や時期は誰にでも訪れる。
「中絶女性たちからのメッセージ」を本にまとめ、『こころと体の相談窓口』の開設、相談者の養成講座を開設しながら、さらに女性への性暴力被害への警告を鳴らし、これまでの教育や医療・福祉などの政策から抜け落ちていることに気がつく。2004年には自分たちで医師免許を持った女医者を雇い「女のためのクリニック」を立ち上げるに至る。
さらに「性暴力救済センター大阪・『SACHICO』」を2009年に立ち上げ、24時間のホットラインを開設。相談件数は電話・来所ともに急増しており、初診数も3年間で2倍になっている。レイプや強制わいせつ、性虐待、DVについても件数が増加している。
子どもたちが見る小中学生向けの雑誌には、性差別や性の乱用の描写や内容がありメディアにも問題があると感じている。19歳までの性暴力から守るための『サチッコ』の電話相談コーナーも一角にある。子どもの時に受けた虐待が女性への暴力や思春期の性非行となり自傷他害行為を起こすことにもつながる。自己肯定感が持てる支援が必要であり、かかわる大人がコロコロと変わらないようにすることは行政の「子ども家庭センター」にも望むこと。水曜日から日曜日:14時〜20時までの電話相談などは、大阪府との協働事業で行っている。
スタッフ35名の会費制で運営し、ニュースの発行、相談窓口担当などの役割分担をしている。「自らが学び、自らが支援者となり、自らが運営する」このしくみは必要としている人に必要なことが届く唯一のあり方だと考える。相談内容から見えることが、これからの医療のあり方や教育、政策提言にもつなげられる。自らが解決に向けて日々邁進している姿に頭が下がる思いだ。このような団体からの報告は大いに政策提案に生かしていかなければならない。