記録映画「いのちの作法」・旧沢内村から引き継がれたものとは・・・

いのちを慈しむことが地域福祉の充実へと向かう

 狛江市・市議会議員の吉野芳子さんのお誘いで、この映画を見る機会を持つことができた。
 この映画では、おっぱいを飲む赤ちゃんから100才の男性までの地域で暮らす人たちが主人公として登場する。
 岩手県旧沢内村では、昭和30年代に、豪雪・貧困・多病多死の三重苦を乗り越え、全国に先駆け老人医療費の無料化と乳児死亡率ゼロを達成した。現在は、合併され西和賀町に。「いのち」に格差があってはいけないと当時の深沢村長がこの政策に踏み切ったとのこと。「住民の生命を守るために、私の生命をかけよう」と村長の『生命尊厳の理念』が今にも脈々と受け継がれている。
 ひとりは、高齢者施設長の男性。高齢の入居者を二人乗りのボックス型そりに乗せ、雪の夜にローソクがともる外に出かけ、15年前の風景を体感・再現する。
 ひとりは、関東地域から夏休みに児童養護施設の子どもたちを街ぐるみで迎える代表の男性。自然溢れるところで家族同様に暮らす機会を多くの子どもたちに体験してもらいたいと、別れの時には、彼自身の涙が止まらない。夢は、この村を子どもたちでいっぱいにする事。
 障がいをもつ人たちも働く意欲をもって、充実した日々を送っている。その姿に親たちも安心できる。旅館がグループホームになる。まちの誰もが助け合って生きる。人は寄り添って生きるということが当たりの地域社会がある。
 人が、「いのち」を感じる時とは、どのような時だろうか。介護の現場では、多くの方との出会いがあり、様々な「いのち」を学ぶ機会があった。お互い様の気持ちで、私の方が元気をいただくことも多くあった。支え支えられる関係を超え、その人らしく生きられることに「いのち」を感じる記録映画だった。