府中市美術館10周年記念、近代画家「高橋由一」の絵画購入決定

市立美術館としてのあり方「運営方針と美術品購入方針」に基づく

この6月議会での「絵画購入について」の議案内容は、H22年度予算で決定されていた美術品購入費1億円の中身である。(費用は市民活動基金を活用)

今年度美術館10周年にふさわしいものを購入するとのことで内容を審議した。江戸時代から明治時代の近代画家の先駆者と知られる「高橋由一」の『墨水桜花輝耀の景(ぼくすいおうかきようのけい)』制作時期1874(明治7)年、(61cm×80cm)麻布・油絵である。向島と手前は浅草で満開の桜の木が左上から右下に垂れ下がる遠近感ある構図。日本的構図の貴重な核となる絵画、現在は鎌倉にある神奈川県立美術館に寄託されている。

美術館の所蔵品収集方針としては、日本と西洋の交流に着目し、日本近代洋画を中心として系統的な収集に努めてきた。10周年にあたりコレクションの核となる作品を収集し、常設展示の充実を図り、市民の芸術鑑賞の機会の拡大を図ることを目的とした。

「高橋由一」の所蔵品は今回初めてである。教科書にも掲載されている「鮭」「おいらん」(重要文化財)は有名。香川県金刀比羅宮・高橋由一館ではその他27点が所蔵されている。9月入手以降随時宣伝はしていくが、この絵のお披露目は来年春の企画展となる予定。

これまで、市は約10年間で613点の所蔵品を15億円かけて収集してきた。年に5回くらい所蔵品を回して展示してきたとのこと。所蔵品の数などは市民の皆さんにはあまり知られていない。これまで所蔵してきた作品をテーマごとに展示、アピールすること、その上で今回の購入品の存在が増すことを大いに期待する。地域ごとを回る移動美術館はできないものだろうか?