敷地面積:1,779.33㎡、戸数:21戸(うち世帯用1戸)、鉄骨造2階建、土地と建物は家主が所有し、医療法人社団康明会が貸り受け毎月家賃を払う方式。所有者は東京都から住宅建設費のうち1,500万円の補助金を得、2010年11月1日にオープンした。訪問看護ステーションの併設等も条件にあり、この部分に関しても別途400万円の補助金が出ている。
賃貸住宅として、利用者が毎月支払う費用は、家賃8万3,500円、管理費2万2,000円、生活支援サービス4万7,250円(介護専門職対応)の計15万2,750円で、厚生年金生活者が入れるように検討されている。日中は併設や他のデイサービスを利用し、食事は外から配食サービスを利用するなど、介護保険を利用している要介護度5の方で、月約28万円、また、介護保険を受けていない自立の方も住まわれ月約20万円となる。敷金は1カ月分のみで礼金はなし。光熱水費に関しては、各部屋の前にメーターがありすべて借家人持ちとなる。初期投資が少ないので気軽に申し込みができ、当初は1泊5,000円(食事別)でお試しで住んでみることが可能であったが、今では、待機者がいるので空いた時しか受け入れられない状況である。
基本サービスの生活支援とは、安否確認の声かけから、緊急時対応、生活相談、ゴミ出しを始め、宅急便の受け取りや衣替えなどを手伝う。ワーデン(介護職の管理人)は「自宅であることを意識して手助けをすること」を心がけ、介護保険では行えないことがこのサービスがあることで切れ目なく生活全般を支えることができ、支援する側としても担いやすいと話される。服薬管理、更衣介助、おむつ交換、体位交換も含まれ、夜間対応として夜9時から明け方まで介護福祉士1名が現在対応している。
入居・居住制限については、60歳以上で特定疾患の方も可能であり、認知症の方も住んでいる。人工呼吸器や吸痰が必要な方の対応は難しいが、ターミナルケア対応は可能と考えている。居住部分は賃貸アパートと同様でプライバシーが守られている。近くに住む家族の元で外泊を好きなようにされるケースもあり、また家族が泊まることも自由である。自宅である部屋での転倒については、緊急コール対応やベッド脇下にコールマットを敷きセンサーで感知するシステムを取りいれ見守る。以上のことから、要介護度5の方も、施設介護とほぼ変わらない状況で過ごすことができると経験豊富なワーデンからの話である。
同建物内に同法人が運営するデイサービスエリアがあり、自分の部屋を出ると手すり付廊下を歩き、傘をさすことなくそのまま自力で通うことができる。車いすの方の移動もスムーズで、デイサービスで疲れたら部屋に戻り休憩を取ることも可能にしている。住まいの中で手が届く福祉があることを実感し、建物だけではなくソフトの面からもバリアフリーの住まい方が実現できているのではないだろうか。
同法人病院では、常時空床2床を確保し、救急から看取りまで対応していることから、ここでも24時間365日の対応が可能であり、救急搬送もその受け皿があることでスムーズに行える。夜間対応をするワーデンは、緊急時にはまずは医者に電話連絡をし指示を仰ぎ、医者といっしょに救急搬送を行っている。
午後の貴重な2時間を12人の私たちのために説明の時間を取っていただいた康明会様には感謝申し上げます。また、ワーデンさん自ら現場の立場からのお話もしていただきありがとうございました。