若月氏は戦後まもなく農民の置かれている暮らしぶりを見て病院診療だけでなく、「出前診療」や「全村健康管理」を全国に先駆けて行ってきた。そして、農作業をする人に起こりやすい病気である脊推カリエスの手術を住民にも理解してもらおうと手術現場を公開し、その後医療と福祉の垣根を越えた活動として患者会を当事者と一緒に作ってきたことを当時の映像から見た。
府中市との姉妹都市である隣町の八千穂村では若月氏が進める「全村健康管理」として住民が健康手帳を作成し、住民が率先して予防に努めてきた歴史も映像で知ることができた。この歴史が今にもどのように受け継がれているのか学びたくなる。
「高度医療と地域医療の両方を推進していくことが今の病院の課題でもある」と常に10年先を見通してきた父・若月俊一の言葉でもあると話されるのは今回のドキュメント映像を公開した長男の健一氏である。
地域の病院の在り方としてこの映画で提言している高度専門医療と地域密着医療との『二足のわらじ』は、病院の再構築の時代を迎えている今の時代にも警鐘を鳴らし続けている。医療の在り方として、原点を見つめなおしたいと思い見ることができた。